固定費を「固定」と「変動」に分けたら、入力がほぼ消えた
家計簿で一番面倒なのは、毎月同じものを毎月入力することだと思う。
家賃、保険料、サブスク、保育料。金額も日付も先月と同じなのに、毎月手で打つ。これを12回繰り返した時点で、たいていの人は家計簿をやめる。
ふたかけには定期項目という仕組みがあって、一度登録すれば毎月ひとりでに並ぶ。ただしこれを作るときに、1つの分け方を入れたことで使い勝手がかなり変わった。「固定」と「変動」という区別だ。
「固定費」の中に、2種類ある
家計の話で「固定費」と言うとき、実は性質の違うものが混ざっている。
金額が毎月同じもの — 家賃、サブスク、保険料。先月と今月で1円も変わらない。
毎月かかるが金額は変わるもの — 電気代、ガス代、水道代。必ず毎月かかるという意味では固定費だが、金額は季節で倍近く動く。
家計の分類としてはどちらも固定費でいい。しかし家計簿アプリでの扱いは正反対にすべきだった。
金額が同じものは、こちらが何もしなくていい
金額が毎月同じなら、アプリが勝手に計上して構わない。家賃8万円を登録しておけば、毎月8万円が自動で記録される。利用者は何もしない。
これが「固定」として登録したときの挙動だ。月次シートを開くと、もう入っている。
家計簿の入力の手間は、金額が分かりきっているものを自動化するだけで大幅に減る。固定費は家計の中で金額が大きいわりに、判断の余地がゼロだからだ。判断が要らない入力は、人間がやる必要がない。
金額が変わるものを自動化すると、嘘になる
一方、電気代を「固定」として登録するとどうなるか。
先月と同じ額が自動で入る。実際の請求は違う額なのに。
家計簿としてはこれが最悪で、間違った数字が自動的に、しかも毎月入り続ける。しかも自動計上されているので、利用者は「入力した覚えがない」から見直しもしない。気づかないまま1年経つ。
だから「変動」として登録したものは、自動では計上しない。月次シートには項目だけが並び、金額のところが「未入力」と表示される。請求が確定したら、そこに数字を入れる。
つまり月次シートが「今月まだ埋まっていないもののリスト」として機能する。全部埋まれば、その月の固定費が確定したことが分かる。
「未入力」と表示することが機能になっている
ここは作ってみて効果が分かったところだ。
自動化できないものを空欄で放置すると、たいてい忘れる。しかし「未入力」と明示的に表示されていると、埋めたくなる。項目そのものは既に並んでいるので、金額を打つだけで済むというのも大きい。
「ゼロから思い出して入力する」と「並んでいる空欄を埋める」では、心理的な負担がかなり違う。前者は記憶の作業で、後者は確認の作業だからだ。
家計簿が続かない理由の一つは、毎回ゼロから思い出さなければならないことだと思っている。並べておくだけで、思い出す必要がなくなる。
毎月でないものも登録できる
もう一つ足したのが、周期の選択だ。毎月・隔月・3か月ごと・半年ごと・年1回から選べる。
これは実際の家計を見ていると必要だった。隔月請求の水道代、年払いの保険、車検。「毎月」しか登録できないと、こういうものが全部はみ出す。
はみ出したものは結局手入力になり、手入力になったものは忘れる。忘れると、年に一度大きな支出が突然現れて「今月は使いすぎた」ように見える。実際には去年から分かっていた支出なのに。
周期を選べるようにしたことで、年払いの保険も「その月が来たら並ぶ」ようになった。
自動で入ったものには、そう書いてある
細かいことだが、自動計上された項目には「自動計上」と表示している。
これは自分が入力していないものが記録に混ざっていることを、隠さないためだ。家計簿を見返したときに「これ入力したっけ」と迷う項目があると、記録全体への信頼が下がる。どこから来た数字かが分かっていれば迷わない。
同じ理由で、定期支出から生成された記録には「固定費」のタグが自動で付く。あとから取引一覧で「固定費だけ」「固定費以外だけ」と絞り込めるようにするためだ。
固定費と変動費を分けて見られると、削れる余地がどこにあるかが分かる。 変動費を切り詰めるより固定費を1つ解約するほうが効くことは多いが、それは分けて見ないと気づけない。
分類は、扱いを変えるためにある
まとめると、この「固定/変動」は分類のための分類ではない。
自動計上するかしないかという、動作の違いを決めるためにある。分類した結果、片方は入力がゼロになり、もう片方は「未入力」という催促に変わった。
家計簿の設定項目が増えるのは基本的に悪いことだが、その設定が何かを自動化するなら、増やす価値がある。選ぶ手間より、選んだ結果として省ける手間のほうが大きいからだ。
逆に言えば、選んでも何も変わらない設定項目は置かないほうがいい。ふたかけの設定画面が比較的少ないのは、この基準で削っているからだ。