コラム

年3回まとめて入る児童手当を、家計簿にどう置くか

公開日 2026/7/26
子育て設計の話

児童手当は、家計簿に載せにくいお金だ。

毎月かかる子どもの費用を支えているのに、入金はまとめて年に数回しかない。入った月だけ収入が跳ね上がり、他の月はゼロになる。月ごとの収支を見ていると、この形は明らかに扱いにくい。

ふたかけでこれをどう扱ったかを書く。

予定を全部データにしなかった

まず考えたのは、支給の予定を全部データとして持つ方法だ。子どもの生年月日を登録したら、18歳になるまでの支給予定を全部作っておく。

これはやめた。支給予定は、生年月日と人数から計算で出せるからだ。

計算で出せるものをデータとして持つと、制度が変わったときに全部作り直しになる。児童手当は過去に何度も制度改正があり、今後も変わる。保存してしまった予定は、改正のたびに古い前提のまま残り続ける。

だから予定は毎回その場で計算し、データとして残すのは「実際に入金を確認した回」だけにした。確認した事実は計算で出せないので保存する。計算で出せるものは保存しない。この線引きは他の機能でも同じにしている。

確認したら、収入として記録が1件増える

入金を確認すると、その額が収入の記録として1件作られる。「その他収入 › 児童手当・補助」というカテゴリに入る。

ここで重要なのは、この収入が耐性メーターの分母に入らないことだ。

耐性メーターの分母は「基準収入」として指定した収入だけを見ている。児童手当はそこに含まれないので、入金があった月だけメーターが急に良くなる、ということが起きない

もしメーターの分母に混ぜてしまうと、年に数回だけ「今月は余裕がある」と表示され、他の月は苦しく見える。実際の暮らしは毎月同じなのに、指標だけが跳ねる。これでは指標として使えない。

一方で、月次レポートの収入には計上される。「今年いくら受け取ったか」は知りたい情報だからだ。どの集計に乗せて、どの集計に乗せないかを個別に決める必要があった。

自治体の補助は手で登録する

児童手当は国の制度なので計算できるが、自治体の補助は地域ごとにばらばらで、計算では出せない。

これは手で登録する形にした。名前と金額と月を入れれば、国の手当と同じように扱われる。

ここで無理をして「全国の自治体の制度をデータベースに持つ」ことを考えなかったのは、それを維持し続けるコストが、個人運営で持てる範囲を超えているからだ。制度は毎年変わるし、自治体は1700以上ある。中途半端に持つと、載っていない自治体の人が「自分の地域は対応していないアプリ」と受け取る。

手で登録できるようにしておけば、どの自治体でも同じように使える。網羅できないなら、最初から網羅しない形にしたほうがいい。

同じ月に二重に記録されないようにする

細かい話だが、実装で一箇所だけ気をつけたところがある。

国の児童手当は「1つの支給月につき1回」しか受け取らない。だから同じ月に2回記録できてしまうと、それは明らかな誤りだ。一方、自治体の補助は同じ月に複数あってもおかしくない(別々の制度が同じ月に入ることはある)。

つまり「同じ月に1件だけ」という制約は、国のぶんにだけかけたい。データベースの機能で一律に禁止すると、自治体のぶんまで縛ってしまう。

そこで、国のぶんだけアプリ側で重複を確認する形にした。制約の粒度が種類によって違うときは、こういう分け方が要る。

扱いにくいお金は、他にもある

児童手当を通して考えたのは、家計簿が想定している「毎月同じリズムで入って出る」という形に、実際のお金は収まらないということだった。

  • ボーナスは年に数回
  • 保険料は年払いのものがある
  • 車検や固定資産税は数年に一度

ふたかけでは、定期項目の周期を毎月・隔月・3か月ごと・半年ごと・年1回から選べるようにしてある。これも同じ問題への対処で、「毎月」を前提にした作りにすると、実際の家計のかなりの部分がはみ出すからだ。

家計簿を作っていて分かったのは、きれいに毎月同じ額が動くものは、実はそれほど多くないということだった。家賃とサブスクくらいで、あとは何かしら不規則だ。その不規則さを「例外」として扱うか、「そういうもの」として最初から設計に入れるかで、使い勝手がかなり変わる。

広告

関連記事